横須賀に生まれ育ち、高浜虚子の俳句理念を継承し、現在も活動を続けている俳人高田風人子の作品をご紹介します。
犬ふぐり どこにも咲く さみしいから 高田風人子
第1句集『半生』(1979年)所収。風人子の代表作とされる句で、たとえば、『現代俳句大事典』(三省堂)の風人子の解説において、この句が挙げられているほか、『改訂版 ホトトギス新歳時記』(三省堂)でも「犬ふぐり」の例句としてこの句が選ばれています。「犬ふぐり」とは早春に咲く瑠璃色の可憐な花。果実が犬の陰嚢(いんのう。「ふぐり」ともいう)に似ているところからこう呼ばれています。道端や畑、山野など、句の通り「どこにも」咲きます。
(洗足学園中学高校教諭 中島正二)