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よこすか文学館

飯島耕一

よこすか文学館<49>

横須賀が登場する文芸や横須賀にゆかりのある文学者を紹介します。

飯島耕一
『ヨコハマ ヨコスカ 幕末 パリ』(春風社)

飯島耕一は著名な詩人ですが、小説家でもあり、また長年、明治大学でフランス文学を講じました。掲出本は短編小説集で、巻頭の1編が本のタイトルとなっています。幕臣「鯤(こん)」こと栗本鋤雲(じょうん)の幕末の活躍を描いた時代小説で、時折、書き手の現在(1989年)の活動、意識が描かれます。鯤は、元は将軍の侍医でしたが、函館に左遷され、そこで宣教師カションからフランス語を学びました。その後、医師から武士に待遇が変わり、江戸に帰還、カションが通訳をしていた縁で駐日公使ロッシュとも親交を結び、小栗忠順とともに横須賀製鉄所の創設に関わります。また日仏提携のため、鯤はパリに赴きます。結果的に、幕府による最後の公使となりました。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)