横須賀が登場する文芸や横須賀にゆかりのある文学者を紹介します。
大島昌弘
『北の海鳴り 小説・中島三郎助』(新人物往来社)
幕末の浦賀奉行所与力中島三郎助の後半生を描いた時代小説。物語は、嘉永6年(1853)のペリー来航で始まります。その時、三郎助は米国将校に対し副奉行を詐称するといった臨機応変の対応をみせ、その直後に浦賀を訪れた勘定奉行川路聖謨(かわじ・としあきら)の依頼で西洋型帆船鳳凰丸を建造します。また若き日の桂小五郎(木戸孝允)が三郎助に内弟子として入門し、短期間ですが、造船、砲術などの手ほどきを受けました。幕府による長崎海軍伝習所創設にあたって三郎助は一期生に選抜され、勝海舟らとともに学び、その後、幕府の海軍で指導者として活躍しました。幕府崩壊後、榎本武揚とともに北海道で官軍と戦い、戦死するという壮絶な最期を遂げます。
(洗足学園中学高校教諭 中島正二)