横須賀が登場する文芸作品(マンガも含む)や横須賀に縁のある文学者を紹介します。
『海の底』有川浩(角川文庫)
巨大ザリガニの大群が横須賀を襲い、人を次々と捕食していくという事態が起こります。まず警察が出動しますが、機動隊員たちが多くの負傷者を出しつつ侵攻を食い止めるのが精一杯。現場の指揮官は自衛隊への移行を求めますが、官庁の縄張り意識や自衛隊の出動をためらう行政の思惑が絡み、なかなか進みません。一方、アメリカ海軍基地の市民開放日に来ていた小中高生13名を海上自衛隊員2名が救護し、潜水艦に避難します。ザリガニに囲まれているため艦内に立て籠もることになった子どもたちに、いろいろ問題が起こります。巨大ザリガニとの戦いと潜水艦内の様子が交互に描かれる小説です。「不入斗公園」「武山駐屯地」などの横須賀の細かい地名も出てきます。
(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)