ある国に新しい服が大好きな皇帝がいました。
ある日、服の仕立て屋がやって来て、ある特別な布を使って愚か者の目には見えない服を仕立てることができると皇帝に売り込みました。
皇帝は大変喜んで大金を払って、その仕立て屋に服を注文しました。しばらくすると、皇帝は何人かの部下に仕立て屋の様子を見に行かせました。しかし、部下たちにはその布が全く見えませんでした。自分が愚か者と思われたくない部下たちは「素晴らしい服が順調に仕上がっています」と皇帝に報告していました。
そして、とうとう新しい服が納品されました。
皇帝は新しい服を大変気に入り、お披露目のパレードを行いました。部下や沿道の人たちは愚か者と思われたくないので「皇帝の服は素晴らしい」と口々に褒め称えました。
しかし、ひとりの小さな子が「皇帝は何も着ていないよ。皇帝は裸だよ」と、誰にも忖度することなく正直に言いました。その声を聞いた沿道の人たちも同じように言い始めました。
ざわざわとした中、皇帝のパレードは続きました。
(参考資料 アンデルセン童話「皇帝の新しい服」ほか)