今年も雷神社の本殿の前に茅(かや)で作られた大きな輪が設置されました。
この輪をくぐる「茅(ち)の輪くぐり」は、一年の半分となる6月の晦日(みそか)に行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」の神事の中の儀式のひとつです。茅の輪をくぐることによって、1年の後半も無事に過ごせるようにと祈ります。
「夏越の祓」は、吾々が清浄を尊び明朗で健康な生活を望んで常に正しい行為をと念じつつも、なおかつ、知らず知らずのうちに過ちを犯し、心身に触れたであろう罪穢れを神の御力によって祓い除き清々しい力を以て生きていこうと祈請する神事です。
茅の輪くぐりが行事として行われるようになった理由は諸説ありますが、蘇民将来(そみんしょうらい)という人物の神話が由来しているといわれています。
その神話では、備後国(現広島県東部)で暮らしていた蘇民将来が、旅の途中に宿を求めて訪れたスサノオノミコトを貧しいながらも喜んでもてなし、その恩返しとして「疫病を逃れるために、茅の輪を腰につけなさい」との教えを授かり、難を逃れたとされています。現在の茅の輪くぐりは、蘇民将来が腰につけていた茅の輪が長い歴史を経て大きくなり、人がくぐり抜けるものになった、といわれているようです。
また、「形代(かたしろ)」は、人の形をした紙に、息を吹きかけて、罪や穢れ、病気や災いを移し、人間(自分)の身代わりになってもらい、祈りやお焚き上げをしてもらうことで、罪穢れを祓う神事です。
(参考資料「雷神社」ほか)