むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。ある寒い雪の降る日、おじいさんは町へ薪を売りに行きました。その帰り道に罠にかかったツルを見つけ、可哀そうに思ったおじいさんはツルを逃がしてあげました。
家に帰っておばあさんにその話しをしていると、「トン、トン」と戸をたたく音がしました。おじいさんが戸を開けると、ひとりの娘が立っていました。道に迷ったという娘をやさしいおじいさんとおばあさんは一晩泊めてあげることにしました。部屋に案内するとその娘は、「お願いですから、決して戸を開けないでください」と言ったきり、戸を閉め、何かをはじめたようでした。おじいさんとおばあさんは、不思議に思いながらも、いつのまにか寝てしまいました。
次の日の朝のこと、いつまでたっても起きてこない娘を心配に思ったおじいさんとおばあさんは、戸を静かに開けてみました。すると、どうでしょう。部屋じゅうのタンスの引き出しが開けられ、現金、通帳と印鑑、マイナンバーカード、おばあさんのへそくり、貴金属類がなくなっていました。その娘は、ツルではなく、なんと、サギだったのです。
(参考文献「ツルの恩返し」)