あるところに、慎ましくも心豊かに暮らす若い夫婦のジムとデラがいました。クリスマスを前にお互いにプレゼントを買う計画を立てていました。夫のジムは祖父から父、そして、自分へと受け継がれてきた金の懐中時計を大切にしていました。一方、妻のデラは美しい栗色の長い髪を宝物にしていました。
クリスマス前日、デラは決して贅沢をしないで慎ましく暮らしているにもかかわらず、愛する夫にプレゼントを買う余裕がないことを嘆き、自慢の美しい髪を切ってかつら屋に売って、ジムにぴったりのプレゼント、金の懐中時計につける「プラチナの鎖」を買いました。一方、ジムは大切な懐中時計を売って、デラにぴったりのプレゼント、美しい「くし」を買いました。
クリスマス当日、ジムは帰宅してすぐにデラの姿を見て「んだよ。お前のために買って来てやったのに」一方、デラはプレゼントを見て「はぁ?どんな思いでバッサリいったかわかってんの?」などといった情緒のない恩着せがましい野暮なやりとりは一切なく、一瞬の沈黙のあと、お互いに微笑み、そして、プレゼントを交換して幸せに暮らしました。
(参考文献「賢者のおくりもの」ほか)