「横須賀」という地名自体は、鎌倉時代成立の記録書『吾妻鏡(あずまかがみ)』が初出らしく、奈良、平安時代の文献には出てきません。古代の行政区画では、現在の三浦半島一帯は「御浦(みうら)郡」と呼ばれていました。『日本書紀』には、持統天皇の御代に、この御浦郡で赤いカラスが捕獲され朝廷に献上され、御浦郡は租税と労役を2年間免除されたという記事があります。「赤烏」は大変めでたいものでした。平安時代の法令細則書『延喜式(えんぎしき)』では、これは「祥瑞(しょうずい)」(=吉兆)の2番目のランク「上瑞(じょうずい)」の1つに挙げられています。ちなみに、「赤烏」以外の「上瑞」には、「三角獣」「白狼」「赤熊」「九尾狐」などがあります。
(洗足学園中学高校教諭 中島正二)