『平家物語』は言わずと知れた軍記物語の最高峰ですが、その巻5の「早馬」に、横須賀を本拠地とした武士三浦一族の三浦大介義明が登場します。義明とその子らは、治承4 年(1180)、平家打倒の挙兵をした源頼朝の側につき、鎌倉の由比ヶ浜から逗子の小坪のあたりを戦場として、300 余騎で、平家方の畠山重忠の軍勢500余騎と戦い、勝利します。しかし、その後、援軍を得た畠山勢が3000余騎で衣笠城に押し寄せます。義明は、子息義澄たちを逃がした後、あっぱれ城を枕に討死を遂げます。享年89(この年齢で現役の武将とは!)。義澄たちは久里浜から船に乗り安房に渡り、頼朝の軍勢に合流、やがて、源氏家臣団のなかで重きをなしていきます。
(洗足学園中学高校教諭 中島正二)