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よこすか文学館

第八回(海軍兵学校詠歌1)

よこすか文学館<20>

棄てられし一兵として国を棄て
夏の焦土を帰りしかな

島田修二

第3歌集『冬音』(1977年)所収。海軍の街横須賀で生まれ育った軍国少年の島田は、横須賀中学(現・横須賀高校)を卒業後、昭和20年(1945年)4月に海軍兵学校に入学しますが、8月6日には広島の原爆投下を江田島から目撃し、15日に終戦を迎えました。まもなく兵学校は閉校となり、「棄てられ」た島田は帰郷するのですが、そのときのことをエッセイ「故郷」のなかで、「無蓋の貨車で広島から横須賀まで、どう辿りついたかはさだかでない」と記しています。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)