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よこすか文学館

第十二回(労働詠歌2)

よこすか文学館<24>

いつぴきのけものとなりて出でゆかん
職捨つる日に自動ドア開く

島田修二

第四歌集渚の日日』(1983年)所収。島田は1953年に東京大学を卒業し読売新聞社に入社しましたが、1979年3月末日、退職します。島田が51歳の年です。掲出歌はまさにその退職の日の詠。大企業を離れ「いつぴき(一匹)のけもの(獣)」となった島田は、この後、旺盛な作歌、執筆活動を続け、1988年、60歳のとき、自ら歌誌『青藍』を創刊します。そして、最後の歌集となる第9歌集『行路』(2000年)を刊行、2004年に永眠します。享年76。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)