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よこすか文学館

五月の俳句

よこすか文学館<41>

横須賀に生まれ育ち、高浜虚子の俳句理念を継承し、現在も活動を続けている俳人高田風人子の作品をご紹介します。

薫風や 国旗と社旗と 安全旗   高田風人子

第3句集『惜春賦』(1996年)所収。「薫風」とは、初夏、新緑のころ、草木の香りを含んで吹いてくる風のこと。「風薫る五月」という表現があるように、5月にふさわしい言葉です。ちなみに今年2019年の立夏は5月6日です。「安全旗」は、大正8年に、安全のシンボルとして「赤十字旗」をヒントに考案された白地に緑の十字の旗。おそらく作者が長年勤務した浦賀造船所の光景でしょう。3種の旗が風になびいているという爽やかな句です。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)