横須賀に生まれ育ち、高浜虚子の俳句理念を継承し、長年にわたり活動を続けた俳人高田風人子の作品をご紹介します。
又開く 山下清 花火かな 高田風人子
第2句集『走馬燈』(1982年)所収。「山下清」(1922年-1971年)は、放浪の画家、「裸の大将」として有名な人物です。彼は花火を描いた多くの作品を残しており、ちぎった紙を張り付ける「ちぎり絵」という手法を用いた「長岡の花火」が特に著名です。掲載句は、花火の季節になると山下清の画集を開いて見るという句とも、打ち上がり開いた花火を見て山下清の作品を想起している句とも解釈できる、重層的な味わいのある句です。
(洗足学園中学高校教諭 中島正二)