横須賀が登場する文芸や横須賀にゆかりのある文学者を紹介します。
山田深夜
『横須賀Dブルース』
横須賀在住の作家による短編集。『ミスターバイクBG』という雑誌に連載されたものを単行本化したものです。作者と等身大といえる、横須賀に住みオートバイを愛する文筆業の「俺」が巻き込まれる事件や周囲に起こる人間模様などを描いた50編です。身体障害者、女性アルコール依存症者、児童虐待、動物殺処分などテーマは多岐にわたり、硬軟織り交ぜ涙あり笑いあり。『横須賀Dブルース』の「D」とは作者曰く「ダウンタウン、ディープ、どぶ板通りなどの意味を込めました」。具体的な横須賀の地名の出てくる作品は多くはないのですが、カバーの表紙には「大将ミシンししゅう店」、挿入写真では「カフェ月印」が使われており、横須賀の香り満載の1冊です。
(洗足学園中学高校教諭 中島正二)