横須賀が登場する文芸や横須賀にゆかりのある文学者を紹介します。
鴨居静太
『「ドブ板通り」殺人事件』(パラント社)
昭和39年(1964年)のドブ板通りを舞台とする推理小説です。ドブ板通りで働く女性が続けて殺される事件が起き、犠牲者の一人が勤めるバーのオーナー京島が容疑者として逮捕されます。語り手である「オレ」は元税務署署員で、小説修業をしながら、手紙の翻訳や脱税指南をして街の人々から「先生」と頼りにされ親しまれている存在。「オレ」は京島の無実を証明するために真犯人の捜査に乗り出します。往時のドブ板通りを髣髴とさせる作品です。著者の鴨居静太は、本書のカバーの「著者紹介」によれば、「1932年、横須賀に生まれる。県立横須賀高等学校卒。」ということです。他の著書としては、『黒い蝶―消えた謀略戦資金』(北宋社)などがあります。
(洗足学園中学高校教諭 中島正二)