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よこすか文学館

阿川弘之

よこすか文学館<56>

横須賀が登場する文芸や横須賀にゆかりのある文学者を紹介します。

阿川弘之
『井上成美』(新潮文庫)

大日本帝国海軍の最後の大将である井上成美(1889-1975)の、戦中の活動および戦後の生活を中心に描いた評伝。井上は、山本五十六、米内光政とともに日独伊三国同盟締結に反対し、また日米開戦の前には「日本が米国を破り、彼を屈服することは不可能なり」という建白書を海軍大臣に提出した硬骨漢です。戦中の兵学校校長時代には、敵性語と忌避されていた英語を重視し、入試科目から英語をはずさせませんでした。戦後は横須賀市長井に隠棲し、こどもたちを対象に英語塾を開きました。作者阿川弘之は戦中、海軍を経験した作家で、当該作と『山本五十六』『米内光政』は海軍提督三部作として著名です。タレント、エッセイスト阿川佐和子は娘。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)