難病による闘病生活の中珠玉の作品を作り続けた横須賀出身の俳人折笠美秋(おりかさ・びしゅう1934-1990)の作品を紹介します。
七生七たび君を娶らん吹雪くとも 折笠美秋
妻の智津子さんを詠んだ句の中の一つ。「七生」は7回生まれ変わること、または、何度も生まれ変わることで、句意は「何度生まれ変わっても君を妻にしよう、たとえ吹雪のような苦難があろうとも」となるでしょう。「七生」は、『太平記』のなかの、楠木正成(まさしげ)兄弟の討死の時の言葉、「七生までただ同じ人間に生れて、朝敵を滅さばや(=滅ぼしたい)とこそ存じ候へ」に由来する「七生報国」という形でもよく知られています。
(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)