横須賀が登場する文芸作品(マンガも含む)や横須賀に縁のある文学者を紹介します。
『横須賀こずえ』小田扉(ビックコミックス)
拾われて王島(おうじま)家で飼われることになった犬「こずえ」を描くマンガ。タイトル通り、横須賀が舞台です。「こずえ」は人間でいうと小4男子程度の知能があるという設定で、その「こずえ」との関わりを通して、王島家の家族、父(横須賀市役所勤務)、母(警察官)、長男(中学教師)、次男(小学生)、独り暮らしをしていてたまに実家に帰る長女(会社員)の生活やそれぞれの人間模様が描かれます。近所の犬たちとの交友も描かれますが、「こずえ」は、ただの犬ではなく、近くの神社の神たちや魔法使いなど、摩訶不思議な存在とも交流し、ときに人間の姿に変わることもあります。「こずえ」が全く登場しない回もあり、奇妙な味わいのあるマンガです。
(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)