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よこすか文学館

「サヨナラ自転車」櫻川さなぎ

よこすか文学館<78>

横須賀が登場する文芸作品(マンガも含む)や横須賀に縁のある文学者を紹介します。

『サヨナラ自転車』櫻川さなぎ(ディスカヴァー21)

横須賀を舞台とした青春小説。幼馴染の、亜優、俊輔、拓己の3人の切ない関係を描いています。小学生のころから仲良しの女子1人、男子2人が同じ「横須賀北陽学園高校」に通うようになります。しかも、拓己の実家のお店で買った同タイプで色違いの自転車に乗っての通学です。そのような3人ですが、やはり思春期、やがて複雑な感情と関係が生じてきます。そして俊輔が突然死んで幽霊となって亜優の前に現れるという事態に。彼の死をめぐる謎解きの趣もあります。横須賀関係者には、生前の俊輔が海上自衛隊横須賀基地付近の美しい夜景を見ながらつぶやく一言、「こういうの見ちゃうとさ。思うわけよ。俺はやっぱり横須賀が好きなんだなと」が胸に響きます。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)