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よこすか文学館

「剣ケ崎」立原正秋

よこすか文学館<83>

横須賀が登場する文芸作品(マンガも含む)や横須賀に縁のある文学者を紹介します。

『剣ケ崎』立原正秋(幻冬舎文庫)

直木賞作家立原正秋(1926-1980)は大日本帝国統治下の朝鮮で生まれました。父の死後、母の再婚に伴い横須賀に移り、衣笠小学校、横須賀商業学校(現横須賀総合高校)に学びました。『剣ヶ崎』は1965年に発表された短編小説です。朝鮮と日本の混血の兄弟の苦悩を描いた小説です。兄弟が子どものころ、帝国陸軍の大尉であった父親が脱走し行方不明となりました。戦後、独立した韓国の将軍となっていた父親が25年ぶりに日本に立ち寄り、兄弟の弟次郎(兄はすでに死去)と短い再会を果たします。ちなみに、剣ヶ崎に住む兄弟は、横須賀中学(現横須賀高校)に通うのですが、バスで京浜急行浦賀駅まで行き大津駅からは徒歩で通っていました。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)