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よこすか文学館

正岡子規の句碑

よこすか文学館<102>

三浦半島に点在する文学碑や史的記念碑を実見し、作者やその作品の成立事情、碑の現状などについてご紹介します。

<正岡子規句碑(ヴェルニー公園)>俳句

横須賀や 只帆檣の 冬木立

正岡子規(1867~1902)は現在の愛媛県松山市生まれ。松山中学を経て、大学予備門入学(→第一高等中学校)、在学中に夏目漱石と知り合います。ちなみに子規も漱石も慶応3年(1867)生まれですが、その他、尾崎紅葉、幸田露伴、南方熊楠、斎藤緑雨といった傑物(けつぶつ)が誕生した年でもあります。さて、子規は、1890年に帝国大学文科大学哲学科へ入学するも、1892年学年試験に落第したのを機に中途退学。後に俳誌『ホトトギス』を中心に文学活動を行い、俳句、短歌の改革に邁進しました。

碑の句は、第一高等中学校の学生時代の夏期休暇中、友人たちと横須賀を訪れた折の詠句で、横須賀港内停泊中の艦船の帆檣(はんしょう=帆柱のこと)を冬木立に見立てたもの。「冬木立」はもちろん冬の季語で作句の時期とは齟齬(そご)しますが、イメージを重視したのでしょう。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)