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横須賀ストーリーズ

自然災害と防災訓練「阪神淡路大震災」3

横須賀ストーリーズ<16>

阪神淡路大震災は想像を絶する自然災害で、全国からの支援によって復旧活動が行われました。横須賀市からも多数の職員を派遣しました。そして、その派遣も長期に及ぶことになり、派遣職員の激励と現地の被害状況の調査などのために2月8日から10日まで神戸市を訪問しました。

(1)給水活動(第269号に掲載)

(2)医療活動 (第269号に掲載)

(3)火災対策

横須賀市の派遣チームが配置されたのは、火災被害が一番集中した地区でした。しかも建物の倒壊の被害も特に多い兵庫消防署管内でした。神戸市からの要請では工作車による人命救助でしたが、現地に到着すると消防ポンプ車による消火活動への期待を求められ、横須賀市では第一陣の工作車隊が出発後に後追いで消防隊が出発しました。こうしたことから後日の反省会で応援を受ける側と応援する側の連絡の重要性を議題として取り上げられました。後日、兵庫消署長に、応援について心からの御礼が述べられ、地震当日の詳細な話を聞くことが出来ました。署長は近くの公舎で生活されていて、地震の瞬間は言葉では表せないような振動で飛び起きて着替え、外に大きな火の手が上がっているので、直ぐに消防署に駆けつけ市役所に連絡を入れると、市役所本庁舎の無線アンテナが倒壊して本部との連絡が取れず、独自の判断により対応することとなり全ての消防車を出動させたが、火の勢いは衰えるどころか手が付けられないような状況でした。職員も徐々に出勤してきましたが、出勤途上で人命救助の現場に遭遇して応援を求められ、一段落するまで協力し登庁する等、マンパワーの不足もあって計画的に消火活動が出来なかったとの反省をお聞きすることができました。

派遣した消防職員からは今後の大きな課題として、第一点として全国波の消防無線が設置されない団体があり、十分な情報交換や連絡が取れなかったこと、第二点は消防水利が十分でなかったこと、第三点は神戸には大きな地震は起こらないとの住民意識で、万一の備えや訓練を実施されていなかったことなどが話されました。

(元横須賀市助役  井上吉隆)