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よこすか文学館

明るい夜に出かけて

よこすか文学館<110>

横須賀が登場する文芸作品(マンガも含む)や横須賀に縁のある文学者を紹介します。

主人公の富山(とみやま)は大学のサークルでのトラブルで心に傷を負い、1年間の休学を決め、実家を離れコンビニでアルバイトをしながら一人暮らしをしています。コンビニのバイトリーダーの鹿沢(かざわ)、富山が夢中になっているラジオ深夜放送番組のリスナーである女子高生佐古田(さこだ)たちとの交流を通して、彼は心の平穏さを取り戻していきます。富山と佐古田は、実在したラジオ番組「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」にリスナーとして「ネタ」を投稿しており、この番組が小説の重要な位置を占めています。

富山は京浜急行追浜駅の近くに住んでいるという設定で、追浜の「なか卯」で親子丼を食べたり、どぶ板通りで買い物をしたり、海軍カレーを食べたりするシーンがあります。

作者の佐藤多佳子は『一瞬の風になれ』(講談社)が「2007年本屋大賞」に選ばれた作家です

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)