国道16号線の横須賀市と横浜市の市境に、「傍示堂の石塔群」があります。かつて、この辺りは、鷹取山からの峰が和田山、室の木まで連なり、その尾根道が相模と武蔵の国境で、浦賀道の難所と言われ、この道を通る旅人や村人達のさまざまな願いを籠めて、五輪塔、地蔵、庚申塔の石塔が祀られていました。
昔は、穀物を食べることで、人間の体内に入る「三尸(さんし)の虫」が、60日周期で廻ってくる庚申(かのえさる)の日に、人間の体内から抜け出し、天に昇り、住みついている人間の日頃の行いを天帝に報告すると言われていました。
罪状によっては、寿命を縮められると恐れられていたため、この日は身を慎み、虫が抜け出さないように、人々が集まり、徹夜をするようになりました。その後、だんだんと食べ物を持ち寄り、歓談しながら、飲食するようになり、さまざまな情報を交換する楽しい集まりになっていったようです。この集会を3年18回続けて、長寿や健康のみならず、家内安全や五穀豊穣などを祈って、建立したのが庚申塔です。